祖父の入院を断られたときに理由を聞いたところ「第4段階でないから」といわれました。祖父は要介護度2で、祖母の世話を受けながら二人で暮してきたのですが、祖母が亡くなってから、1人で暮らせなくなり、糖尿病も悪くなってきたようなので、介護保険病院に入院させようとしたところ、断られたのです。第4段階って要介護度の事を言ってるのですか?(25歳男性より)
【回答】 今回は、とても重要な問題を含んでいるので、ちょっと長い回答になります。ご質問にあった「第4段階」というのは、要介護認定とは違います。経済的弱者を救済するための制度を適用するための収入区分です。前回の介護保険法の改正によって利用者負担が増えたため収入の少ない人たちに対しての対応策として打ち出され0施策で、その区分はおおむね 第1段階 生活保護の方など 第2段階 年収80万円以下の方など 第3段階 年収80〜266万円の方など 第4段階 それ以外の通常世帯 に分かれて、1〜3までの方については、施設利用の自己負担限度額が低く設定されいます。さらに食事代と居住費についても減額するというものです。利用者にとって良い制度なのですが、もし、ご質問にあるようなことが起こっているとすれば、お金のない人を入院させないという差別をしている施設があるということになるので、とんでもないことだと思うのです。 では、なぜそんな事が起こるのでしょうか?簡単に言えば、第4段階の方が収入的に有利であるからです。介護保険制度は、サービス提供側の利益が十分に取れないシステムになっているため、サービス提供側が赤字にならないような工夫努力をする必要があります。ヘルパーさんの給料が上げられないのも、その辺に理由があるからなのですが、今回のお話も、それと根は同じところからきているように思います。サービス提供側が、できるだけ利益の上がる方法として考えた結果、あり得ることだと思います。 施設側から見て、第4段階の方が利益が取れるという事に関しては、詳しく説明すると介護保険制度が「ツギ当て」の制度であるが故の複雑さがあって、大変判りづらいので、簡単な説明にいたします。いったいどのような事が起こっているのでしょうか? 病院入院時の食事代を例にとって説明いたします。従来、食事代は、利用者負担が780円/日でした。病院では、利用者からの780円に、保険給付をあわせて、2120円/日で食事を賄ってきました。食事代を全額利用者負担にするにあたって、政府は一日の食事の基準額を1380円に設定しました。利用者側から見ると、780円の負担が1380円に上がるということになり、一方、病院側から見ると2120円で賄っていた食事を1380円で賄いなさいということになるのです。 そこで出てきたのが、利用者負担増への苦情を和らげるための食事代のの減額です。1〜3段階の方には行政からの援助をして自己負担額を下げようとするものです。一方、施設側については、1380円という金額は基準であって、この金額に制限される事なく、任意に契約できるとしています。施設では、食事の質を落とすわけには行かないということから、個々の病院の事情によって違いはありますが、2000円/日前後の食事代を設定しています。 その結果、利用者側からみると食事代の負担は、 第1段階の人 300円/日 第2段階の人 390円/日 第3段階の人 650円/日 第4段階の人 2000円/日 という事になります。減額の方の負担は格段に安くなります。 一方、施設側ではどうなるでしょうか?施設で1人あたりにかけられる食事の費用は 第1〜3段階の方 1380円/日 第4段階の方 2000円/日 という事になります。施設では、従来は2120円の食事を提供してきて、食事の質を落とさずに1380円では賄えないという事情があります。加えて、1〜3段階と4段階を比較すると、1人1日620円の差が出るのです。1ヶ月では、1人18600円、100人の施設では、食事代だけでも、1ヶ月なんと186万円の差が出るのです。居住費についても同様の現象があります。 このように、施設側としては、第4段階の方を優先することによって、少しでも利益確保ができると考えているのだと思います。 以上のように、年収の低い人を排除するという入院判断は、とんでもない差別であって許されることではないのですが、病院が、そんな対応をせざるを得ない介護保険制度にこそ問題があると、私は思うのですが・・・・。
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